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橋本ゼミ グループ発表 2011年度前期

金田峻

 


 

     原発が環境に与える影響

ビデオを見る限り原発が地球に優しいクリーンなエネルギーであるという印象を与えます。しかし実際には、「発電時に」CO2を出していないだけで、ウランの採掘から原子炉を建設するに至るまで莫大な資源とエネルギーを投入します。「CO2を出さない。だから環境に良い」というのは真っ赤な嘘なのです。また、原発は核分裂反応によって生じた熱エネルギーの三分の一にしかならない非効率的な発電方法で、電気にならなかった熱は「温排水」として海に捨てられ、この温排水が生態系を破壊します。さらに、

原発はCO2の排出量の問題以前に、労働者や周辺住民の放射線被曝、事故時の放射性物質大量放出のリスク、処理できない放射性廃棄物などの点から、地球に多大な悪影響を与えるものだと言えます。こう見てみるとわかるように、原発が決してクリーンなエネルギーではありません。

 

・「その他原発とメリットと問題点」

ここで、その他原発のメリットあるいは問題点だと言われている点を挙げます。確かに、原発のメリットと考えられる点が存在します。しかし、それ以上に原発は数多くの深刻な問題が存在しています。

     …パワポには・原発はエネルギーを安定的に供給できる・原発の燃料であるウランは石油石炭の代替エネルギー資源になるというメリットと、・高レベル放射性廃棄物の処理方法 である「地層処分」に大きな問題がある・原発に関わる労働者の被曝問題・耐震設計に大きな問題がある・全ての原発は脆弱な地盤の上に建てられている・電力会社の隠蔽体質・メーカー・ゼネコンの無責任体制・「安全神話」の崩壊・非民主主義的な側面を持つ・再処理工場付近で特に深刻な放射能汚染・稼働率が低いというデメリットが表示されている

 

・「全量買取制度」について

この制度は再生可能エネルギーを普及させ「脱原発」への道に進むためには絶対必要な制度です。

 

@     経産省が出している概要を参考にした、この制度の概要

一点目、「地球温暖化対策」のみならず、「エネルギーセキュリティの向上」、「環境関連産業育成」の観点から、低炭素社会と新たな成長の実現に大きく貢献することを目標とする。二点目、現在までに実用化された再生可能エネルギー(太陽光、風力、中小水力発電、地熱、バイオマス)を全て買取対象に含む。そして三点目、太陽光発電を除いた買取価格については一キロワットにつき15〜20円程度で15〜20年程度買取、今後価格の低減が期待される太陽光発電等の買取価格については、価格低減を早期に実現するため当初は高い買取価格を設定し段階的に引き下げ、買取価格は10年間とする、としています。こう見ると、この制度は太陽光発電に大きな期待を寄せている制度であると言えます。

 

@     余剰買取制度との違い

全量買取制度と現在施行されている余剰買取制度との違いは何でしょうか。余剰電力の買取制度では、太陽光発電した電気から、まずは自分の家で使った電気を引き算して、余り(余剰電力)が出たときに売電できます。どれだけ発電しても、消費する電気の量が発電量と同じか、それよりも多ければ、余りは出ないので売電はできません。それに対して、

全量買取制度では、例え太陽光発電した電気より多くの電気を消費して、余剰電力がなかったとしても、太陽光発電した全部の電気を売電できる。全量買取制度では、「余剰電力」という考え方自体がなくなります。全量買取制度の導入によって、今よりもさらに、再生可能エネルギーの普及を促すことが期待されます。

 

・風力に期待

これまで風力に焦点をあてて話してきましたが、実は太陽光よりも大きな可能性を持っているのは風力発電です。環境省の平成22年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査をもとに検討する。この調査は、再生可能エネルギーの導入ポテンシャル及びシナリオ別導入可能量を推計したものです。「導入ポテンシャル」とは、現在での技術水準では利用することが困難なものを除き、種々の制約要因を考慮したエネルギーのことであり、「シナリオ別導入可能量推計における基本シナリオ」とは「再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度」の導入や技術開発によるコスト縮減を想定したものです。注目するのは「基本シナリオ@」であり、それは現状のコストレベルを前提とし、2011.3.11に閣議決定された全量買取制度に関連する法案において想定されている制度開始時点の買取価格及び期間で買取が行われる場合です。この調査は、至って現実味のある推計であることが分かる。結論から言えば、原発7〜40基分に相当する電力を風力のみで発電できるという結果がでました。

 

1)実際の調査結果をみる

先ほど述べたFIT対応シナリオにおいて約2400万から〜一億4千万キロワットの電力を供給するポテンシャルを持っています。これが原発7〜40基分に相当します。また、北海道や東北地方では従来の電力供給量を上回るポテンシャルを持っていることが明らかになりました。さらに重要なことは、稼働率を24%と仮定していることです。供給が安定しないといわれている風力発電の弱点を考慮した上での結果なのです。このように、現実的な推計において、風力が大きなポテンシャルを秘めていることが明らかになりました。全量買取制度は「風力発電」をより促進させるものであるべきです。

 

2)風力発電を普及させるために

一点目、全量買取制度では風力を一キロワットあたり24円で20年間の買取を保証すること。この数字の根拠は「現在の制度で想定されている一キロワットあたり15〜20円で15〜20年の買取保証では、環境アセスメントや施設基準の強化などの事業リスク勘案した場合、採算リスクがあわない」という風力発電事業関係者の話によるものですが、一律的に15〜20円の買取を行うのではなく、各コストにみあった買取価格を設定することが望ましいと言えます。二点目、電力事業者の電力供給者からの「接続」についての例外規定をなくすこと。今回提出されている再生可能エネルギー法案の第五条では、普通電力事業者は電力供給者から「接続を拒んではならない」とされているが、「電気の円滑な供給の確保に支障を生ずるおそれがあるとき」は除外されると規定されています。これでは再生可能エネルギーの普及で障害となるのでこの除外規定をなくすべきです。そして三点目、発送電分離を促すこと。日本の電力事業は地域ごとに独占を許された10社が発電、送電、小売まで一括して担っています。新規参入業者は送電の際、電力会社に割高な使用料を支払わねばなりません。発送電分離によって送電・配電部門を独立させ、使用料をなくすことで今よりも新規参入を促すことが期待されます。

 

・「終わりに」

 以上、原発について様々な側面から述べてきました。今回私たちが痛感したのは、原発というこれだけ危険なものが身近に存在していたのにもかかわらず、いかにそれについて無知だったのかということです。あたかもそれが自然に存在するかのように受け止めることで現在の福島第一原発のように取り返しのつかない深刻な事態を招いてしまいました。今の危機的状況をきっかけに今度こそ、私たちは「考える」ことができるようにならなければなりません。これは最後に残されたチャンスかもしれないのです。